タイミング法とは?
- 排卵の時期と性交渉の時期を合わせるのがタイミング法
- 薬で排卵の時期を調整したり、排卵後のホルモンのサポートを行ったりすることがある
タイミング法は、排卵の時期に合わせて性交渉を行うことで、受精が起こる確率を高める方法です。そのため、排卵のタイミングを正確に把握することがとても大切になります。
卵子は、卵巣の中にある「卵胞」と呼ばれる袋状の構造の中に存在します。月経の頃には卵胞はまだ10mm未満ですが、徐々に大きくなり、自然な周期では20mm前後になると排卵が起こります。超音波検査でこの卵胞の大きさを確認すること(卵胞モニタリング)で、排卵の時期を予測します。
性交渉のタイミングとしては、排卵の2日前から排卵当日ごろが目安となります。
補助的に、排卵誘発剤を使用したり、排卵のトリガーを行ったり、黄体補充を行うことがあります。
タイミング法の治療適応
- 不妊症と診断された方の多くが対象
- 両方の卵管がつまっている場合や、精子の数や運動性が極端に悪い場合はおすすめしない
タイミング法は、不妊症と診断された方の多くが対象となる治療ですが、すべての方に適しているわけではありません。両側の卵管が詰まっている場合や、精子の数や動きが極端に低い場合には、妊娠率が期待できないため、タイミング法をおすすめしないことがあります。
タイミング法の流れ
- 超音波で卵胞の大きさを確認しながら、排卵の時期を予測する
- 卵胞を大きくするために、排卵誘発剤でのサポートを行うことがある
- 補助的に、排卵をさせるお薬をしたり黄体ホルモンの補充を行ったりすることがある
排卵誘発剤を使用しない場合
排卵が近づいた時期に、超音波検査で卵胞の発育を確認します。卵胞が十分に育っていれば、その時期に合わせてタイミングを取ります。発育が不十分な場合には、内服薬や注射による排卵誘発を行い、数日後に再度卵胞の発育を確認します。
排卵誘発剤を使用する場合
月経中に超音波検査を行い、前周期の卵胞が残っていないことや、すでに発育した卵胞がないことを確認したうえで、排卵誘発剤の内服を開始します。約1週間後に再度超音波検査を行い、卵胞が十分に発育していれば、その時期に合わせてタイミングを取ります。発育が不十分な場合には、注射による排卵誘発を追加し、再度卵胞の発育を確認します。
いずれの場合にも、補助的に排卵のトリガーや黄体補充を実施することがあります。
卵胞モニタリング
- 卵胞が一定のサイズになると排卵が起こるため、超音波で卵胞の大きさを確認し、排卵の時期を予測する
超音波検査で卵胞の大きさを確認することが、タイミング法の基本です。卵子は卵胞と呼ばれる袋状の構造の中で育ち、卵胞が一定の大きさまで発育すると排卵が起こります。卵胞はある程度大きくなると、ほぼ一定のペースで成長するため、その変化を追うことで排卵の時期を予測できます。
排卵誘発剤
- 卵胞の発育を早めるため、排卵誘発剤を使用することがある
- 複数排卵による多胎妊娠に注意が必要
- 複数の卵胞発育がある場合、避妊が必要になることがある
卵胞が一定の大きさまで育たないと、排卵は通常起こりません。月経周期が不規則な場合、この卵胞の発育のタイミングが毎回ばらつくため、排卵と性交渉の時期が合いにくくなったり、卵胞モニタリングを何度も行う必要が出てきたりすることがあります。排卵誘発剤は、卵胞の発育を早めてタイミングを整え、卵胞モニタリングを行う回数を減らし、排卵と性交渉を合わせやすくするために用いられます。ただし、複数の卵胞が育つことで、多胎妊娠の可能性が高くなる点には注意が必要です。
排卵のトリガー
- 卵胞が一定のサイズになると、人為的に排卵を起こすことができる
- 排卵の時期がコントロールできるため、タイミングを合わせやすくなることがある
卵胞が一定の大きさまで発育すると、薬を使って人為的に排卵を起こすことができます。これを「トリガー」と呼び、投与後およそ36~38時間で排卵が起こるとされています。排卵日をより正確に予測できるため、排卵と性交渉のタイミングを合わせやすくなります。
性交渉のタイミング
- 排卵の1-2日前が妊娠しやすいと言われている
- 排卵から時間が経つと、妊娠は難しくなる
性交渉のタイミングは、一般的に排卵日の2日前から当日までがよいとされています。中でも、排卵の1~2日前が最も妊娠しやすい時期です。排卵トリガーを行った場合は、当日または翌日に性交渉を行うことで、排卵のタイミングと合わせることができます。
排卵の確認
- 超音波で排卵後の変化を確認することができる
- 超音波での確認が難しいことがあり、採血での確認を行うこともある
タイミングがうまく合ったかを確認するために、排卵の確認を行うことがあります。排卵後には、超音波検査で子宮内膜が白っぽく変化したり、骨盤内に少量の水が見られたり、卵胞がつぶれて黄体に変化した様子が確認できることがあります。ただし、排卵直後は超音波では分かりにくい場合もあるため、採血で確認することがあります。血中プロゲステロン値が3.0ng/mL以上に上昇していれば、ほぼ排卵が起こったと判断できます。
黄体補充
- 着床や妊娠維持の機能をサポートするためにお薬を使うことがある
- すべての方を対象に行う治療ではない
黄体機能不全と判断された場合には、黄体補充を行うことがあります。排卵の数日後から約10日間、プロゲステロン製剤を内服します。ただし、黄体補充の効果に関するエビデンスは限定的であり、すべての方に行う治療ではなく、必要と判断された場合にのみ実施します。
タイミング法の限界
- 卵管の通りや精液所見が良くない場合には、十分な効果が見込めないことがある
- 受精卵への対応はできない
タイミング法は、排卵の時期に合わせて性交渉を行い、受精の効率を高める治療です。しかし、卵管の通りが悪い場合や、精子の数や動きが低下している場合には、受精効率を十分に高められず、妊娠率の向上が期待できないことがあります。また、タイミング法では受精卵そのものに対する介入はできません。そのため、治療効果には限界があり、妊娠に至らない場合や効果が見込めない状況では、次の段階の治療へ進むことをおすすめすることがあります。