不妊症の原因
- 不妊症にはさまざまな原因がある。
- 排卵、受精、受精卵の輸送、着床、受精卵そのものを中心に考えよう
不妊症の原因にはさまざまなものがあり、その重要性や起こりやすさも人それぞれ異なります。ここでは理解しやすいように、「排卵の障害」「受精の障害」「受精卵の輸送の障害」「着床の障害」「受精卵そのものの問題」を中心にお話ししていきます。
思い当たることはありませんか?
以下のような点に、思い当たるところはありませんか。
- 月経が不規則、または月経が来ないことがある
- 月経と月経の間隔が極端に長い、または短い
- 排卵検査薬が陽性にならない
- 基礎体温が二相性にならない(高温期がはっきりしない)
- 月経痛が強い、経血量が多いなどの異常がある
- 子宮内膜症を指摘されたことがある
- クラミジアなどの感染症にかかったことがある
- 腹部の手術を受けたことがある
- タイミングを合わせているが、なかなか妊娠しない
- 精液検査で異常を指摘されたことがある
- 子宮筋腫や子宮内膜ポリープを指摘されたことがある
これらは、「排卵の障害」「受精の障害」「受精卵の輸送の障害」「着床の障害」を疑う際の代表的なエピソードです。思い当たる点がある方は、これからのお話をより意識して読んでいただくとよいかもしれません。
排卵の障害
排卵の障害とは?
当てはまる方は排卵障害の可能性あり
- 月経周期が25日より短かったり、38日より長かったりする
- 周期ごとに1週間以上バラつく
- 基礎体温が上昇しない
- 排卵検査薬が反応しない
排卵障害があると、排卵と受精のタイミングが合わないことがある
排卵障害とは、卵巣から卵子がうまく排卵されない状態を指します。月経が不規則、長期間月経が来ない、排卵検査薬が反応しない、基礎体温が二相性にならない、高温期がはっきりしないなどの症状がみられ、排卵障害があると妊娠の成立が難しくなることがあります。
受精の障害
- 排卵が起こっていても、受精が起こらないと妊娠が成立しない
- 卵管や精液の状態に問題があると、受精が起こりにくいことがある
排卵された卵子は、卵管の中の「卵管膨大部」と呼ばれる場所で精子と出会い、受精します。何らかの理由で精子や卵子がこの場所に到達できず受精が起こらないと、妊娠は成立しません。主な原因として、卵管の通過障害、卵子のピックアップ障害、精液の状態不良、頸管因子による受精の障害、射精や性交の障害などが挙げられます。
卵管の通過障害による受精の障害
- 卵管の中を精子がうまく通れないと、受精の場までたどり着けない
卵子は卵巣からお腹の中側を通って卵管に入り、精子は子宮側から卵管へ進み、卵管膨大部で出会います。卵管の通過障害があると、卵子や精子がうまく通れず、卵管膨大部に到達できないため、受精が起こらないことがあります。
卵子のピックアップ障害による受精の障害
- 卵管の中へうまく卵子が取り込まれないと、受精の場までたどり着けない
卵管のお腹の中側の入口は「卵管采(らんかんさい)」と呼ばれ、排卵された卵子を卵管の中へ取り込む役割があります。卵管采が炎症や癒着で障害を受けると、卵子がうまく卵管内に入れず、卵管膨大部に到達できないため、受精が起こらないことがあります。
精液の状態不良による受精の障害
- 精液中の精子の数や運動性に問題がある場合、受精の場までたどり着けない
射精された精子は、頸管、子宮内を通り、卵管内へ進み、卵管膨大部を目指します。この過程で精子は数を減らしながら長い距離を移動しますので、もともとの数が少なかったり、動きが弱かったりすると、卵管膨大部へ十分な数の精子が到達できず、受精が起こりにくくなることがあります。
頸管因子による受精の障害
- 子宮の入り口(頸管)に問題があると、精子が通過できず、受精の場までたどり着けない
頸管因子による受精の障害とは、子宮の入口にあたる頸管の状態が原因で、精子が子宮や卵管へうまく進めないため起こります。排卵期に分泌される頸管粘液が少ない、または性状が悪い場合、精子が通りにくくなり、受精が起こりにくくなることがあります。
射精障害・性交障害による受精の障害
- うまく膣内へ射精されないと、精子が受精の場までたどり着けない
性交や射精がうまく行えない場合、精子が子宮内に届けられず、受精が起こりにくくなります。勃起が続かないことや、膣内で射精できないといったことが理由となりますが、痛みや心理的な負担がその原因となることもあります。
受精卵の輸送の障害
- 受精卵の通路が塞がっていると、子宮の中には到達できない
- 受精卵がうまく運ばれないと、子宮の中には到達できない
受精卵は自分で動くことができず、卵管の中にあるヒダの働きによって子宮へ運ばれます。卵管が詰まっている場合や、このヒダが炎症などで傷ついていると、受精卵がうまく運ばれず、子宮内に到達できないことがあります。こうした状態は、過去の病気や感染症による炎症が原因となることがあります。
着床の障害
子宮内病変による着床の障害
- 子宮の中に異常なものがあると、着床しにくいことがある
子宮筋腫や子宮内膜ポリープなどが子宮内に存在すると、受精卵がうまく子宮内膜に根を下ろせず、着床が起こりにくくなることがあります。
受精卵そのものの問題
- 受精卵がうまく成長しないと、結局妊娠は成立しない
- 受精卵の状態を左右するのは、主に卵子の状態
卵子がきちんと受精して、卵管内を正常に輸送され、子宮内に着床を妨げるものがなかったとしても、受精卵自体がうまく発育しなければ妊娠は成立しません。受精卵は精子と卵子からできますが、その後の発育に大きく影響するのは、主に卵子の状態であると考えられています。
不妊症における卵子の重要性
- 卵子の状態には、女性側の年齢が大きく影響する
きちんと成熟した卵子であっても、すべてが妊娠しやすい受精卵になるわけではなく、その確率は半分以下とされています。このことから、妊娠が成立するかどうかには、卵子の状態が大きく関わっていることがわかります。卵子への影響は年齢が上がるにつれて、より大きくなると考えられています。
原因不明不妊
原因不明不妊とは?
- 検査をしても明らかな原因が見つからないのが、原因不明不妊
- 見えないところに原因があることがある
原因不明不妊とは、排卵、受精、卵管、子宮、精液検査などに明らかな異常が見つからないにもかかわらず、妊娠に至らない状態を指します。原因がわからない不妊症の場合には、目に見えない卵子や受精卵の状態が関係していることもあります。