3人に1人が悩む!? 甲状腺と不妊治療、その繋がりとは
不妊治療を始める際、多くの方が卵巣や子宮の状態を気にしますが、実は「甲状腺」も妊娠には重要な役割を果たしていることをご存じですか?
甲状腺は喉の前側にある小さな器官で、体の代謝やエネルギーを調整するホルモンを分泌しています。このホルモンは、妊娠の成立や維持にも密接に関わっているのです。
甲状腺ホルモンは、全身の細胞に影響を与える重要なホルモンです。
特に、卵子の成熟や排卵、受精卵の着床、胎児の発育に必要なホルモンバランスを整える役割があります。そのため、甲状腺の機能に異常があると、妊娠しづらくなる場合があります。
甲状腺の機能異常には、大きく分けて「甲状腺機能低下症」と「甲状腺機能亢進症」があります。
甲状腺機能低下症では、ホルモンが不足するため、月経不順や排卵障害を引き起こすことがあります。また、妊娠初期では胎児の脳の発育や成長を促しますが、このホルモンが不足すると、その程度が軽度であっても、流産や早産の率が高くなったり、児の知能低下が起こったりすることが言われています。
一方で、甲状腺機能亢進症では、ホルモンが過剰に分泌され、排卵までの期間が短くなることがあります。また早産や胎児発育不全の原因になることもあります。
甲状腺の異常は、自己免疫疾患や生活習慣、ストレスなどが原因となることがあります。自覚症状がないことも多いため、不妊治療を始める際には、血液検査で甲状腺ホルモンの値(TSHやFT4など)を確認することが一般的です。異常が見つかった場合でも、多くの場合は内服薬などで治療可能です。また、日頃からバランスの取れた食事を心がけ、適度な運動やストレス管理で甲状腺を含む全身の健康を保つことも重要です。
甲状腺の健康は、妊娠の成功に大きく影響を与える要因の一つです。専門医と相談し、適切なケアを行うことで、新しい命を迎える可能性をより高めることができるでしょう。
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