人工授精や体外受精を行う際、精液はそのまま使うのではなく、不純物を取り除き、良好精子を獲得するための調整が必要となります。
人工授精当日、または体外受精では採卵日当日に、ご自宅にて採取していただきお持ちいただきます。(ご持参していただいた精子の状態によっては、調整せずに施行、延期、またはクリニックにて再度採取していただくことがあります。)
精子の調整には人工授精では20~30分、体外受精では1時間程度必要となり、決まった時間に行います。予約時間を過ぎてご来院された場合には、次の調整時間帯での調整となります。
また、精液の状態によって調整方法や遠心分離時間が異なり、調整にかかる時間が変動することがあります。
単身赴任や長期出張で精液の当日採取が不可能な場合は、採卵当日までに 精子の凍結保存(自費) をしておく必要がありますが、凍結精子は解凍すると運動率が顕著に低くなります。
【採取・持参していただく際の注意点】
遠心分離機
精液を培養液の上にのせ遠心機にかけますと、精子の細胞密度の関係で、生きている良好精子だけが沈殿します。
上澄みの死滅精子や密度の低い精子、不純物を取り除き、再び生きている良好精子に培養液を加え遠心し、形態良好精子を回収します。
デメリットは遠心による精子へのダメージです。DNA断片化や酸化ストレスがかかると言われています。
体外受精では、密度勾配法で得られた形態良好精子に、精子の調整をする培養液をゆっくりと上に乗せていきます。この時泳いで上に上がってきた元気のいい精子を回収し体外受精に用います。
デメリットは遠心による精子へのダメージです。DNA断片化や酸化ストレスがかかると言われています。
わずか8μmの微細な孔を持つ特殊な膜と、精子の運動性を利用し、短時間で運動性良好精子を回収する方法です。
遠心分離による酸化ストレス発生のリスクを減らし、精子DNA断片化を最大80%減らすと言われています。
ZyMōt™を使用する場合、従来の精子調整方法よりも精子回収量が少なくなるため、受精方法は顕微授精のみになります。
精液を注入口から注入すると、奇形精子や不純物は下部に残り、高い前進運動性を持つ精子が中の膜を通り抜けて上の方に泳いでき、回収口から集めることができます。
デメリットは先進医療の為保険診療と併用はできるものの費用は¥30,000(非課税)で、従来法よりも精子回収量が少なくなります。
膜構造を用いた生理学的精子選択術 (ZyMōt™ スパームセパレーター) |
30,000円 |
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