出生前診断について( ②検査の種類)
こんにちは。
今日は先月の続きで、看護師より 出生前診断の検査 について書きます。
出生前診断には胎児を超音波で診る画像検査と、染色体疾患に関する検査があります。
今から書く染色体疾患に関する検査には『非確定検査』と『確定検査』があります。
非確定検査には、母体血液中にある微量の胎児DNA断片を分析する新型出生前診断(NIPT検査)、胎児が対象疾患であった場合に増減する母体血液中の4つのマーカーをみる母体血清マーカー検査(クアトロ検査)、母体血清マーカー検査と超音波検査を組み合わせるコンバインド検査(OSCAR 検査)、があります。
確定検査は主に2種類です。胎児と由来が同じである胎盤の絨毛組織を採取して染色体を調べる絨毛検査、羊水中にある胎児由来の細胞を培養し染色体を調べる羊水検査、があります。
様々な検査がありますが、まずどの検査を受けるのかについては、検査の感度やリスクなどを考えます。
「感度」とは、実際に児が対象疾患(ダウン症)にかかっている人のうち、事前検査を受けていて陽性となっていた割合のことです。
非確定検査のNIPT で99%以上、母体血清マーカー検査で80%、確定検査の絨毛検査や羊水検査では100%と言われます。しかし確定検査は実際に子宮を穿刺するため、破水や流産死産のリスクがあり、羊水検査で300分の1になります。非確定検査は母体の採血や超音波など、胎児に対する侵襲もなくリスクはありません。
そこで感度やリスクを考えた上で非確定検査でまず調べ、陽性なら確定検査へ進むのが一般的です。
ここまで話すと、まずNIPT であれば「感度」も高いし、見逃しが少なくスクリーニング検査として有用と考えられます。しかし検査には「感度」以外に「陽性的中率」があり、NIPT 検査では検査を受ける母体年齢に注意が必要です。
NIPT における「感度」とは、ダウン症であった児のうち、事前検査で陽性と診断されていた確率であって、事前検査で陽性と診断されていても結果ダウン症でなかった人(偽陽性の人)の事は母数に含まない考え方です。
逆に「陽性的中率」は、NIPT 検査において 「陽性」と判定された人全体を見て実際にダウン症であった確率です。陽性と言われていたのにダウン症ではなかった偽陽性の数も分母に含みます。
検査機関などにより報告に差が出てきますが、ここにある機関で報告された例をあげます。40歳妊娠10週の人では陽性的中率95.2%、35歳妊娠10週で84.4%です。またある機関では35歳以上の陽性的中率は97.6%、30歳で94.1%と報告されています。
つまり検査を受ける年齢によって的中率は変わり、若いほど的中率は低くなる、つまり偽陽性の割合が高くなると報告されています。若いほど、ダウン症ではないのに、ダウン症であるとされてしまう確率が上がるということです。
気を付けたいのはNIPT の結果のみで確定検査を受けずに中絶を選択してしまう損失です。どの非確定検査であっても陽性であれば、必ず確定検査を受けることが必要です。
次回は、どんなことがわかるのかをお話ししたいと思います。
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