医局通信『骨粗鬆症とビタミンD』
骨粗鬆症は、骨強度が低下し骨折リスクが増大しやすくなる骨の疾患です。骨強度とは、骨密度(骨のカルシウム)と骨質(骨のタンパク質)の要素からなり、骨密度は骨強度の70%を占めます。骨粗鬆症の予防にはこの骨密度の維持が大切なのです。
骨密度は、思春期から劇的に増加し20歳頃には最大値に達し、閉経前後から急速に減少することが知られています。思春期頃の垂直に荷重がかかるスポーツは骨密度を増加させますので、若い時に骨密度を高め、その密度を減少させないために、閉経後も散歩や背筋を鍛える運動などを継続的にされることが骨密度の維持につながります。
しかし、若い時の痩せや無理なダイエットは、生理不順や不妊症だけでなく骨密度を低下させる可能性もあります。バランスよく栄養素を取り、カルシウムやビタミンDを取ることが重要です。
カルシウムは、1日の推奨量650mgで牛乳、ヨーグルト、チーズ、干しえび、小松菜などから摂取できます。食事で十分なカルシウムを補えない人は、サプリメントの服用が有効とされています。
ビタミンDは、ビタミンD2とビタミンD3の総称で、ビタミンDは紫外線を浴びることにより皮膚で合成されるほか、ビタミンD2はきのこ類、ビタミンD3は魚類などを食べることにより補給することができます。ビタミンDは腸管におけるカルシウム吸収を促進し、血中カルシウム濃度を維持し骨のカルシウムを正常に保ちますが、不足すると骨は細く脆くなります。
ビタミンD は、閉経後女性の骨粗鬆症の予防にも役立ちますので、ビタミンD不足の時は、ビタミンDのサプリメントなどの服用が有効とされています。
65歳を超えるか、何か喫煙や過度の飲酒など骨粗鬆症の危険因子がある方は、一度医療機関で骨密度を調べる検査をされてはいかがでしょうか。
長寿社会の今、若々しく過ごしていくためにも、バランスの良い食事をとり、散歩中の転倒や夏場では熱中症に気をつけ無理のない運動をお勧めします。
参考文献:厚生労働省 統合医療情報発信サイト 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編
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