院長ブログ『高齢初産婦』
晩婚・晩産化の時代となっている今、芸能人や世界の高齢出産のニュースを目にすることも増えました。しかしいくら高齢で無事に妊娠出産されたとしても、ご自身も同じようにいくと思うことは危険です。
日本産婦人科学会によると高年初産婦とは、35歳以上の初産婦と定義されています。女性が妊娠し出産する能力は、10代後半から30代前半までが妊娠と出産の能力の最盛期であり、30代後半以降は卵子や子宮の能力の低下によりだんだんと減り、40代後半になると著しく低下、50歳以上ではほぼゼロに近くなります。
年齢が高くなるほど卵子は老化し、受精卵の染色体異常が増加するため、ダウン症などの発生率が高くなります。妊娠高血圧症候群をはじめ、妊娠糖尿病のリスクも高くなり、妊娠前から太りすぎだった場合は、それらのリスクが増加します。前置胎盤や胎盤早期剥離などの合併症、子宮筋腫や卵巣腫瘍などの婦人科合併症も増えます。また、過度に痩せている妊婦さんから生まれてくる赤ちゃんは低出生体重児であることが多いです。
高齢分娩の場合は、産道や子宮口が硬くなっているため難産になりやすく、分娩時出血量の増加、帝王切開率の上昇、流産早産の増加なども挙げられています。妊娠22週以降の胎児死亡や生後1ヶ月以内の新生児死亡などの周産期死亡率も上昇するなど、母体や産まれてくる子にもリスクがあることを知っておきましょう。
コロナ禍ではありますが、女性のカラダの仕組みをご理解いただいて、ご自身の人生設計の参考にしていただければ幸いです。
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