妊娠しやすい身体づくり『カフェイン』
カフェインはコーヒーや紅茶などに多く含まれている成分で、眠気覚ましや利尿作用などの効果があります。健康な成人であれば、400mg/日までは悪影響がないとされています。
まずは、それぞれのカフェインの含有量を見てみたいと思います。
コーヒー 60mg/100ml
インスタントコーヒー(顆粒製品) 57mg/100ml
玉露 160mg/100ml
紅茶 30mg/100ml
せん茶 20mg/100ml
ウーロン茶 20mg/100ml
エナジードリンク又は眠気覚まし飲料(清涼飲料水) 32~300mg/100ml (製品1本当たり36~150mg)
参照元:食品中のカフェイン–食品安全委員会
コーヒーは適切に摂取すればがんを抑える等、死亡リスクが減少する効果がありますが、不妊治療にはどのような影響を与えるのでしょうか?
妊娠とカフェイン摂取量についての論文はいくつか出ていますので、そちらを参考にお話しさせて頂きます。
オーフス大学からの論文で、人工授精を受けている女性で1日1~5杯のコーヒーを飲む女性は飲まない女性に比べて妊娠、出産に至る確率が1.5倍高くなるという報告がされました。
一方、体外受精や顕微授精を受けている女性ではコーヒーの摂取量と治療成績に関連が見られないとのことです。
この事から、人工授精ではコーヒーの摂取が治療に良い影響を与える可能性が示唆されました。
他にもハーバード大学から、治療前の1年間のカフェイン摂取量は体外受精や顕微授精の治療成績には、マイナスの影響を及ぼさないとの同様の報告がされています。
さらに、20年以上前の論文になりますが、妊活を始めてから自然妊娠するまでの期間とコーヒー摂取量との関係を調べた研究があります。
この研究では、1日のカフェイン摂取量が500mg(コーヒー6、7杯)より多くなると妊活を始めてから自然妊娠までの期間が延長することが確認されました。
つまり、過剰なコーヒー(カフェイン)の摂取は妊娠に悪影響を及ぼす可能性がありますが、適量のコーヒー摂取は不妊治療に対してそれほど影響を与えないと考えられます。
不妊治療中などの妊娠前のカフェインの影響についてお話ししましたが、妊娠中のカフェイン摂取はどうでしょうか?
妊娠中のカフェインを過剰摂取は、流産のリスクが上昇すると言う報告があります。
他にも、カフェインが胎盤を流れる血流量を低下させることが分かっています。
そのため、世界保健機関(WHO)は1日のカフェイン摂取量が300mgを越える妊婦に対しては、流産や新生児の低体重リスクを低減するために、妊娠中はカフェイン摂取量を制限する様に注意喚起をしています。
妊娠中はコーヒーを一切飲んではいけないと言うことはありませんが、適度な量を心掛けることが大切です。
カフェインの摂取量が気になる方は、ノンカフェインやカフェインレスの飲み物を取り入れてみるのはいかがでしょうか?
好きな物を無理に我慢することはストレスになり、自分にも胎児にも悪影響を与えます。ノンカフェインの飲み物などを利用しながら、たまには好きな飲み物を飲んでリフレッシュするのもいいかと思います。
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