医局通信『大豆イソフラボンと補完代替医療』
大豆にはさまざまな栄養が詰まっていることをご存知でしょうか。
タンパク質をはじめ、脂質、糖質、ビタミンB1、ビタミンE、葉酸、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、鉄、亜鉛、銅など、栄養素の種類がとても豊富に含まれます。その一方で、大豆にはコレステロールが全く含まれていないこともわかっています。
補完代替医療のなかに、植物エストロゲン(女性ホルモン)として知られる大豆イソフラボンがあります。大豆イソフラボンの構造式が女性ホルモンに類似している為、体内でエストロゲン受容体と結合し、種々の作用が発揮することが知られております。
原因不明の不妊または胚移植が成功しなかった女性は、胚の着床時期に、子宮内膜に増加する着床関連因子のLIFの濃度が低いことが知られており、東京医大からイソフラボンがLIFを増加させる可能性が示されました。
不妊・不育の35名にイソフラボンを服用すると、12名の患者が妊娠し、イソフラボンの服用は、不妊治療の1つとして試みる補助療法であると考えられました。
また、女性ホルモン産生低下により症状を起こす更年期症状には、ほてり、のぼせ、発汗、動悸、などの自律神経症状がありますが、大豆イソフラボンの服用で、のぼせを含む更年期症状を改善することも報告されています。
しかし、長期間の大量の大豆イソフラボンの服用では、子宮内膜増殖症が見られたことにより、内閣府安全委員会は、大豆イソフラボンの摂取量を1日30mgとしています。補完代替医療においても有害事象が起こる可能性はあり、これに注意する必要があります。上手に摂取し、バランスの良い食事を心がけてください。
参考文献 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編 2017
産科と婦人科 2009年 105,1605-1609
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