医局通信『喫煙と子宮外妊娠』
毎年5月31日はWHO(世界保健機関)が定める「世界禁煙デー」です。
妊婦さんの喫煙、受動喫煙を含むことについて、産婦人科診療ガイドライン産科編には「周囲の喫煙環境の情報を得、禁煙を勧める」とあります。
妊婦さんの喫煙は、煙に含まれるニコチンなどの有害物質が血管を収縮させ、流産などを起こし妊娠、出産、赤ちゃんの低体重など健康に悪影響を及ぼす可能性があると言われています。
また不妊率を増加させ、異所性妊娠(子宮外妊娠)の発生率を2倍高めると指摘しています。
子宮外妊娠は、妊娠していても、子宮外や子宮の中の正常な部位以外で起こる妊娠をいいます。
もっとも頻度の高い子宮外妊娠は、卵管妊娠です。卵管という細い管の中で大きくなり、妊娠5週-8週くらいの間に、卵管破裂や卵管流産などを起こし、手術が必要になることが多く、多量の腹腔内出血となると生命の危険もあり得ます。
未だに初期の流産と子宮外妊娠を完全に区別するのが難しい場合があります。しかし、腹痛や腹腔内出血が起こってからしか判断がつきにくかった子宮外妊娠も、超音波などの検査技術の進歩した今日では、無症状のうちに診断がつく場合もあります。
子宮外妊娠の可能性がある場合には、妊娠のごく初期からの検査が大切です。また同様に妊娠初期に禁煙すればそのリスクは下がるとされていますし、妊娠前に禁煙すれば、たばこを吸わない妊婦さんと同じレベルになります。
妊娠中の喫煙、妊婦さんのいる場所での喫煙は、ご自身または愛しいパートナーだけではなく、赤ちゃんへの影響も大きいことを覚えて頂ければと思います。
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