医局通信『子宮頸がんとHPV』
子宮頸がんの患者さんは年間10,000人程、亡くなる方は年間3,000人程と報告されています。30歳前後から発生が増え、40代以降は概ね横ばいになります。また近年の特徴として、若年層(20~39歳)で増加傾向にあります。この理由として考えられるのは初交の低年齢化、性交渉相手の人数の増加、そして子宮がん検診の低受診率があげられます。
子宮頸がんの発症の必要条件として、発がん性のHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染がわかっており、このウイルスは、子宮頸がんの患者さんの90%以上で検出されています。性行為を行う女性の50~80%が、生涯で一度はHPVに感染し、子宮頸部でHPVが持続感染することにより、細胞の異形成から癌化へとすすんでいきます。
初期の上皮内のがんであれば、子宮頸部のみを円錐状に切除することにより、妊娠が可能な場合がありますが、進行すれば、子宮及び両側の卵管、卵巣摘出はもとより、骨盤のリンパ節郭清術を行い、化学療法や放射線治療も必要となり、排尿障害など様々な後遺症が生じる可能性があります。
子宮頸がんの症状として、不正出血、帯下の増加や性交後の出血が見られます。毎月月経はあるが、それとは別に出血した。月経不順がひどく、よくわからない出血がしばしばおこる。閉経しているのに性器出血があるなどです。そのような場合は婦人科を受診しましょう。
子宮頸がんは、症状の有る無しに関わらず、定期的な検診が早期発見に繋がる可能性があります。20歳以上の方は、2年に1度行政の子宮頸がん検診を受けることができます。検診を受けられる場所など詳細については、お住まいの市区町村に問い合わせしてみてはいかがでしょうか。
厚生労働省子宮頸がん予防ワクチンQ&A 子宮頸がん啓発のための学術情報冊子
赤ちゃんを授かるための
ママとパパの本
いちばん丁寧に心を込めて解説した「赤ちゃんを授かるための知識」が詰まった1冊です。