医局通信『外陰掻痒(そうよう)症』
外陰掻痒(そうよう)症は、外陰のかゆみの症状を示す病気の総称です。
また、外陰掻痒症は様々な原因でおこる病気で、原因が特定できず対症療法となることもあります。
外陰部にかゆみが起こる疾患に、真菌によるカンジダ外陰膣炎があります。これは比較的多い疾患で、あらかじめ除外する必要があります。外陰・膣にカンジダ菌が発育しているかどうか検査の上、カンジダ菌が存在すれば抗真菌膣座薬や抗真菌クリームを使用します。
皮膚炎または湿疹は、外陰掻痒症の中で最も多い原因です。
皮膚に傷ができれば、痛みも生じます。かゆみのある赤みを帯びた皮膚の表面から表皮が落ち、皮膚も少し肥厚しまたやや白くなります。皮膚を刺激する皮膚炎や湿疹の原因となる物質は多岐にわたります。化学的刺激物質、物理的刺激物質、アレルゲンが刺激物質になります。刺激物質を避けるために、医師が診察の上それらを特定することは、診断・治療に際して重要です。
治療のために、刺激物質を排除し、過敏になっている皮膚に更なる刺激を与えないようにします。皮膚への刺激を避けるため、香水や洗剤にも気を配る必要もあります。かゆみのあるところを石鹸で過度に洗うことをやめるのもいいでしょう。皮膚炎から皮膚の防御機構が劣化し2次的な感染を起こしやすく、その治療も必要となることがあります。
軽症の外陰掻痒症の場合、刺激の少ない皮膚保湿剤を塗ります。また、外用薬としては、皮膚炎や湿疹に対し非ステロイド性抗炎症外用薬が使用できます。
中等症以上の外陰掻痒症の治療には、ステロイド外用薬が主体となります。ステロイド作用の弱いものから使用され、1日2回の塗布を2週間前後するのが基本です。長期間使用しても改善が認められない場合は、原因物質が除去されていない可能性やステロイド外用薬のクリームや軟膏に過敏である接触性皮膚炎の可能性も疑われます。
難治性の皮膚炎は他の皮膚疾患も考慮し、あるいは外陰部に皮膚の腫瘤感、痛み、出血する場合、外陰腫瘍を疑い専門医に紹介することがあります。
赤ちゃんを授かるための
ママとパパの本
いちばん丁寧に心を込めて解説した「赤ちゃんを授かるための知識」が詰まった1冊です。