医局通信『トリコモナス膣炎』
黄色のおりもの(以下、帯下)が増加し、強いかゆみが外陰部にあれば、トリコモナス膣炎を思い出してください。
トリコモナス膣炎は、トリコモナス原虫が原因で起こります。
この原虫は主に腟にいますが、膣以外の尿路や外陰部の分泌腺などにも時にいます。
トリコモナス膣炎では、泡状の黄白色帯下の増量があり、つよい痒みがみられます。その一方、症状のない女性も10-20%に見られます。
トリコモナス膣炎は、性行為で感染する病気ですが、性交以外の感染経路も知られていて、性交経験のない女性や幼児にもトリコモナス膣炎がみられます。
トリコモナス膣炎の診断には、採取した腟分泌物をスライドグラスに写し、顕微鏡下で腟トリコモナス原虫を確認する方法が、最もよく行われています。
子宮頸癌検診の際の細胞診で、トリコモナス膣炎を診断される場合もあります。
症状からは、トリコモナス膣炎を疑うのに、顕微鏡検査でトリコモナス原虫を確認できない場合、トリコモナス原虫の培養検査を行うことがあります。
治療では、尿路等への感染も考慮して経口薬による治療が選択されます。腟剤単独の局所投与のみでは再発率が高いです。
パートナーとのお互いの感染を防ぐため、パートナーにも同時期に内服治療を行います。
なおパートナーの腟トリコモナス原虫の確認には、尿の顕微鏡検鏡や尿培養を行います。
薬の副作用として、内服治療中の飲酒により、腹痛、嘔吐、潮紅などが現れることかがあるので、投与中および投与後3日間の飲酒をさけるようにしてください。妊娠中の女性には(とくに12週未満)には経口薬の投与は避けるのが望ましいです。
トリコモナス膣炎に対して、治療判定には投与終了後2週間の間隔を空けます。
参考文献ガイドライン婦人科外来編2014
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