痩せすぎも肥満もダメ!妊娠と体重管理の正解
不妊治療に来られた方にダイエットをお勧めする時があります。肥満の妊婦さんは、きちんと管理をすれば無事に出産することは可能ですが、妊娠高血圧症や妊娠糖尿病、早産や難産などのリスクが高くなるといわれており、いざ妊娠し分娩先を探しても、病院側にその管理体制が整っていない場合は、受け入れを拒否されてしまうことがあるのです。実際当院でも、100kg以上の妊婦さんは受け入れられませんと言われたケースがあります。そのため、妊娠前に正しく体重を減らしておくことが大切です。
また、体重が少なすぎるのも問題です。痩せでは、視床下部や下垂体からホルモンが分泌されなくなり、卵巣の働きが阻害され排卵障害や月経不順、無月経を引き起こしてしまい不妊の原因となります。痩せ型の妊婦さんでは、早産のリスクが高くなります。また妊娠週数に比べて赤ちゃんの体重が小さいこと(子宮内胎児発育不全(子宮内胎児発育遅延)が多い報告もあります。
妊娠の有無にかかわらず、適度な体重を保つポイントとして、こまめに体重を測定し現状を知ることが大切です。出来れば毎日測ることをおすすめします。食事は適度な量と栄養のバランスを考えましょう。また食べた物を記載しておくことも役に立ちますよ。そして運動です。しかし妊娠中の方の場合は、かかりつけ医に相談してから始めましょう。
妊娠中の体重の増加の目安は妊娠前の体重にもよりますが、2021年3月に厚労省による「妊産婦のための食生活指針」が改訂され、妊娠全期間を通しての推奨体重増加量は以下のように発表されています。
妊娠前のBMI値が18.5未満の低体重(痩せ)の方は12~15kg
妊娠前のBMI値が18.5以上25.0未満の 普 通 の方は10~13kg
妊娠前のBMI値が25.0以上30.0未満の肥満(1度)の方は7~10kg
妊娠前のBMI値が30.0以上の肥満(2度以上)は個別対応(上限5kgまでが目安)
妊娠中は、医師から安静にするように指示を受けた場合や、仕事が産休に入ったり実家に帰って、動くことが少なくなったタイミングなどは、特に体重管理に意識を向ける必要があります。しかし、体重管理が上手くいかないからといってダイエット(食事制限や過度な運動など)は母体だけではなく赤ちゃんの健康も害してしまいますので注意が必要です。ひとりで悩まず、まずは医師や栄養士に相談してみましょう。
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